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:牛島監督退団:
8月29日付けのニッカン・スポーツが牛島監督が今シーズン限りでの退団を決意したと報道しました。偶然かもしれませんが、私はここ数日「何で今年はこうなってしまったのか」ということを考えていました。昨年のシーズン・オフからの流れを思い出し、テレビやハマスタで感じた違和感を思い返したり、そんな時に牛島監督の退団が報道されましたので、昨年からの牛島監督の采配や、今シーズンのここまでを書き連ねていきたいと思います。
(采配:
まず昨年ですが石井、佐伯、種田といったベテラン勢を中心にすえ、投手陣は三浦やリリーフ陣をフル回転させるなど牛島監督はとつかく勝つことに重点を置いていました。3年連続最下位という負け犬根性を払拭する意味でも、いい加減疲れきっていたファンのためにもいい判断だったと思います。2年目(今年ですね)に入ると負けが込んできたこともあってか若手投手を積極的に起用しているのも好印象です。
:初回はバント:
牛島監督の特徴の一つに〔初回に石井が出塁すると、必ず二番打者が送ってランナーを進める〕というものがあります。当サイトでも〔初回に先頭の石井がヒットで出塁すると、XXが送って一死二塁というチャンスを作ったが、XX、XXが凡退して先制ならず〕という一文を、ほとんどテンプレートのように書き込んでいました。この采配にも批判がありましたが、まあ、これは好みの問題でしょう。
:9番の次:
昨年、不調で9番に下がった村田に「9番の次の打順は何だ?」と聞いて、村田が「1番です」と答えると、「アホか、次は無いんじゃ」と叱咤激励して、その試合で村田が活躍したり、石井、佐伯の両ベテランを批判されながらも、本人の希望通りに全試合に出場させて、シーズンの終盤までベテラン勢に高いモチベーションを持たせました。案外選手を乗せるのがうまい監督かもしれません。
:采配):
牛島監督は代打や代走を滅多に使いません。古木が二軍に落とされたのも、そんなに沢山いても使い切れないからじゃないかと邪推してしまいます。反面、守備固めはそこそこ使います(藤田や小池など)。左の中継ぎを引っぱりすぎるクセがありますが、継投はなかなか上手です。さて采配はこれぐらいにして、次にいきましょう。
:開幕以前:
今シーズンを迎えるにあたってベイスターズは不可思議なことを二つ行なっています。一つはフロントが外国人選手をまともに獲得しなかったこと。もう一つは牛島監督がヘッド・コーチなし、ピッチング・コーチに阿波野という奇妙な編成を組んだことです。
:外国人:
まずは外国人選手から行きましょう。牛島監督がフロントに「先発投手」、「左の中継ぎ投手」、「長打の打てる野手」という希望を伝えていました。まず「先発投手」は格安のベバリン(3400万)になりました。「左の中継ぎ投手」はシーズンの直前になってようやく右手で投げるソニア(3000万)を獲得しました。「長打の打てる野手」は未だに来日していません。
:編成:
さて次は奇妙な編成です。そもそも昨年のコーチ陣はフロント主導で決めていました。ところがチームが3位になったのでコーチ人事を牛島監督に一任するという方針転換を行いました。牛島監督はチーム防御率をリーグ2位に押し上げた野村ピッチング・コーチを解任して、巨人の投手陣を壊滅させた阿波野ピッチング・コーチが入閣させ、さらにシーズン途中で休養した福田ヘッドに代わるヘッド・コーチを置かないという、ある種の独裁政権を誕生させました。
:開幕:
そんな中でシーズンは始まりました。ベイスターズは後ろ向きに全力で走り出したような閉幕ダッシュで、わずか二月で浮上不可能なところまで沈み込みました。その原因は主力投手達がボーク問題でフォーム変更を余儀なくされたことにもありますが、牛島監督がこだわったいくつかの方針にも原因はあったと思います。
:方針1:
一つは4番佐伯、先発ベバリンです。牛島監督は開幕から絶不調で打率二割前後の佐伯を一度も4番から外さず、防御率が十点前後のベバリンを先発で起用し続けました。これはフロントへの意地のように感じられました。4番がいないから4番佐伯、獲ってくれた先発がベバリンしかいないから先発ベバリン。ついでに左の中継ぎに佐久本。
:方針2:
牛島監督が行なったもう一つの方針は、ピッチャーがどれだけ打たれてもピッチング・コーチをマウンドに向かわさないというものです。おそらくピッチャーたちが自分の力で難局を乗り越えて成長することを期待していたのでしょうが、これは大失敗に終わります。打たれ出したピッチャーたちは際限なく失点を重ね、5月までの50試合で3点以上とられたイニングが40回を数えました。完全な大失敗でしたが、これを監督に進言できるヘッド・コーチはいませんでした。
:3位争いぐらいには:
6月1日から村田が4番に座りました。以降のチームは32勝31勝1分と勝ち越しています(8月29日終了時点)、ピッチング・コーチあるいは牛島監督がマウンドに足を運ぶようになったのもこの頃です。もともと昨年3位になったチームで力はあります。今シーズンもまともな補強をしていれば、優勝とまでは行かなくても優勝争いの輪の端っこにくらいは入れたんじゃないでしょうか。
:10万人増:
ですがフロントの立場も分かります。はっきり言ってベイスターズの年棒は安くはありません。佐々木と隆が抜けたにもかかわらず23億円前後です。12球団で言えばちょうど真ん中あたりです。それでいて昨年の入場者数は12球団中最下位だったのですから、まあ、たまらないでしょうね。とはいえ昨年3位になったおかげで今年の入場者数は昨年を10万人以上更新しそうです。あたり前ですが〔最下位の翌年〕より、〔3位の翌年〕のほうが遥かにお客さんは増えます(今年の順位がこんなでもね)。フロントの皆さん、FAやトレードで他球団のスタープレイヤーを獲れとは言いません。ですがせめて外国人選手は4人揃えてください。
:乖離:
牛島監督はフロントから「好きにやれ」と白紙委任状(コーチ人事)を渡されたものの、それ以来なにひとつ要望が吸い上げられることはなく、「これで何とかしろ」とベバリンとソニアが与えられました。フロントは既に23億も払っているのに「もっとよこせ」と言われました。ニッカン・スポーツは「現場とフロントの構想が乖離(かいり)したまま迎えたシーズン」と表現しています。シンプルに言ってしまえばコミュニケーション不足ということです。「いい選手をとってくれ」、「金がない」、互いの立場は明白です。ですがそこで終わってしまっては全員が損をします。無駄だと思っても会話を重ねていけば、いくらなんでも左投手という要望がソニアに化けることはなかったでしょう。
:乖離2:
投手陣が崩壊したのも牛島監督が対等に話し合えるコーチを置かなかったことが原因でした。ピッチング・コーチはマウンドに行くべきだったし、ベバリンは自信をなくす前に二軍で調整させるべきでした。もしこのまま牛島監督がチームを去っても、フロントはおそらくそのまま残るでしょう。フロントが今回の一件から学ばない限り、誰が監督をやっても優勝は難しいでしょう。牛島監督が続投するのであれ、新監督が就任するのであれ、フロントは監督と、どういうチームを作っていき、そのためには何が必要で、何ができることで、何ができないことかを建前抜きで話しあってください。そしてできればその末席にでも選手と、ついでにファンも加えてくださいな。
:選手の皆さん、最下位だけはマジかんべんね:
個人的な意見を言わせていただければ、牛島監督は名将だとは思いません。ですがヘタだとも思いません。むしろコーチ経験もない2年目の監督としてはよくやっていると思います。最近の若手投手の起用などを見ているともう一年間任せてみたい気もします。ですが最下位だけはイヤです。アレだけは許してください。5位タイでもかまいません。最下位だけはマジかんべんです。首脳陣や選手の皆さん、何とかお願いします。え〜それと最後に。年棒交渉でごねるぐらいで多村を出そうとするな!多村を出したらヘコんじゃうよ! |
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